ジュピター
あらすじ
シカゴで清掃員として働くジュピターは、単調でミジメな毎日に辟易していた。亡き父の愛用の望遠鏡と同じモノをネットオークションで手に入れたい彼女は、従兄弟に唆され、大金を得るため卵子の提供手術を受けに病院に訪れる。手術台に載せられた彼女は手足を拘束され、違和感に気付きもがくジュピターに薬物が投入されかけ絶体絶命の瞬間、ドアを蹴破り屈強な男が銃を撃ち、正体をあらわにした異星人を倒し、彼女の危機を救う。
その瞬間から、彼女の退屈な毎日は終わりを告げ、同時に彼女は自身に隠された全銀河を揺るがす程の秘密を知り、苦悩する日々が始まる…。
登場人物
ジュピター…未来に希望がなく愛を信じない。清掃員。
ケイン…タイタスからの命令でジュピターを迎えにきたハンター
スティンガー…ケインの元上司
バレム・アブラサクス…長男。王位継承権1位。地球の所有者
カリーク・アブラサクス…長女。王位継承権2位
タイタス・アブラサクス…次男。王位継承権3位
一言コメント:主役に合ったストーリーを作りましょう
感想(ネタバレ注意)
チャイニング・テイタム、ミラ・クニス、エディ・レッドメインという豪華キャストの作品なんですが。
映画を見て最初に思った感想はなんか微妙…でした。
凄いお金が掛かってる分CG等の映像は綺麗で迫力あったし、チャイニングのアクションもよかったと思います。
でも、肝心のストーリーが…。
ジュピターが自分の秘密を知ってそれでも地球や家族を守るために戦い、決断するというのが話の本筋になるはずなのに、逆にそれが添え物程度でジュピターとケインの身分違いの恋が本筋みたいになってるのが、凄い違和感です。
この身分違いの恋も、何の脈絡もなくジュピターが唐突にケインに発情しだして、意味が分からない。
確かにケインに守ってもらったりしてたけど、愛を信じてないという設定のジュピターの突然の豹変に違和感しか感じませんでした。
この映画、ジュピターが中心で話が進んでいくのに、主役(トップクレジット)は何故かチャイニングなんですよ。
これが最大の問題で、ジュピターを完全に主役においてケイン(チャイニング)はヒロインの相手役程度の扱いにすればいいのに、変にケインも中心に添えようとするから話がおかしくなってる。
どうしてもケイン(チャイニング)を中心に置きたいなら話を根本から変えないとダメでしょ。
なんかストーリーが本当にちぐはぐしてて、何をやりたかったのか全くわかりませんでした。
この映画、宇宙には色々な宇宙人がいたり、時間を売り買いしてて人間100人分の命で人一人が若返る薬?を作れたりとか設定はそれなりに凝っているんですよ。
でも、敵役であるアブラサクス三兄弟&その周りの設定が曖昧すぎ。
ジュピターはアブラサクス三兄弟の母親の生まれ変わりで、母親は莫大な財産と利権を持っていた為、三兄弟はそれぞれの思惑の元にジュピターを即位させようとしたり殺そうとしたり…というのが話の本筋なんですが、この設定がおかしくないですか。
母親が死んでるという事は、王位は他に移っているという事ですよね。
現在の王がいるのに遺伝子が同じの人間がいたからって、また王座を返してもらえるなんで出来るものなのか?
もし空位なら何で長い間空位のままなのか?この辺の設定が曖昧です。
後は長女のカリーク。
長男バレムは自分が即位したいからジュピターが邪魔で、二男タイタスはジュピターと結婚して自分が王になりたいからと、それぞれジュピターを狙う理由は明確なんですが、長女カリークがジュピターの即位を後押ししてたのは何故?
タイタスは即位したジュピターを後ろから操りたいからみたいに推測してましたが、それだけでは動機が弱い気がします。
せっかく三兄弟なんだから身分違いの恋なんかに尺を使わずにカリークももっと活かせばいいのに。
結局、ジュピターは即位しつつも地球暮らしでケインとの恋を楽しむラストでしたが、バレムは死んでタイタスは捕まりジュピターは暢気な地球暮らしで実質的に支配してるのはカリーク?
この辺も投げっぱなしで終わってしまい、本当に残念です。
色々辛口な意見ばかりになってしまいましたが、映像は本当にキレイだし、設定も(一部以外は)凝ってていいと思います。
だからこそ、ストーリーが本当に残念過ぎて…。
ストーリーがしっかりしていたら名作とは言わずとも佳作にはなっていたんじゃないかなあ。
個人的点数:40点
(エディ・レッドメインの悪役演技に注目!)