湿地
あらすじ
一人の幼い少女が病死し、その家族は悲しみに暮れていた。
その頃、アイスランドの湿地帯にある郊外のアパートの一室で撲殺された初老の男の死体が発見される。
捜査にあたるエーレンデュル警部は、机の奥に写真が隠されているのを発見。
写真に写った十字架の謎や被害者の過去を探るうち、警部は30年前に起こったある事件の存在を知る。
殺人事件との関連を調べる警部だが、私生活では娘エヴァとの不和に思い悩んでいた…。
登場人物
エーレンデュル…不良の娘との関係に悩む刑事
エリンボルク…ベテラン女刑事
ホルベルク…天涯孤独の男。自宅で殺害される
ルーナル…元悪徳刑事
エルン…娘を病気で亡くして落ち込む父親
一言コメント:子供を想う親の気持ちは皆一緒
感想(ネタバレ注意)
私は存じ上げませんが、アイスランドで有名なミステリーを映画化したということで。
映画を見た感想としてはおもしろかった、けど…。
つまらないかおもしろいかでいったら、間違いなくおもしろいです。
でも、傑作かとか名作かと言われると、それは違うんじゃないかと言いたくなる作品です。
まず、全体的にずっと暗い!
ストーリーは仕方ないにしても、絵面というか風景とかがずっと静かで暗めなんですよ。
タイトルの通り湿地地帯での出来事なので仕方ないのもわかりますけどね。
後、時系列が微妙にわかりにくい!
基本はエーレンデュル警部の捜査パートが中心で、合間合間に娘が死んで落ち込んでるエルンのパートが差し込まれる仕様なんですが、自分がバカだからなのか、エルンパートの時系列が若干わかりにくい気がしました。というかエルンパートとエーレンデュル警部の時系列って同じじゃないですよね?この辺もわかりにくくなってる理由かな。
そして、事件に関係ない(と思われる)エルンのパートをちょこちょこ入れてくるという事は、犯人は誰かを言ってるようなもんだよなって思ってしまう。
ここからガチのネタバレ注意!見たくない人はずっとスクロールして
結局、殺されたホルベルクは仲間二人と女をレイプしては脅迫していた屑で元刑事のルーナルはそれをもみ消していた。で、レイプした女の中の二人がホルベルクの子を身ごもっていて、その一人がエルンでもう一人は幼い時に病死していた。自分の娘と腹違いの妹が同じ病気で亡くなったのを知って、「この病気は遺伝なんじゃ」と思ったエルンは実の親父ホルベルクを訪ねて衝動的に殺してしまう。
というのが真相なんだけど。
なんでしょう、犯人に同情は出来るんですけど、「それで殺すか?」と思ってしまうのはエルンが娘を想う描写が冒頭にちょこっとしか出てこなかったからですかね。
正直エーレンデュル警部と娘との関係にあれだけ時間を割くなら、エルンと娘との関係にもっと時間を割けばよかったのにと思ってしまう。
エルンが亡くなった娘との思い出を振り返る描写を入れてれば「それで殺すか?」とは思わなかった気がする。
エルンと娘の関係が事件の本質でもあるのに、ここの描写が薄かった。
北欧ミステリーの傑作!だの「このミステリーがすごい!」2013年版海外編に選ばれた原作だの見る前の煽りが凄かったせいか、実際に見て拍子抜けになっちゃったのもあるのかなあ、どうしても「おもしろかった、けど…」という感想になってしまう。
この映画、ホルベルク以外にも何人か死ぬんですけど、それがエルンとは関係ない、ただの内輪もめの結果だとか、エルンの腹違いの妹(ホルベルクのもう一人の子供)が病死でその母親も後を追って自殺とか、絶対になにかある!とワクワクした結果が「遺伝子がどうたら」で拍子抜けだと感じちゃったのもあるのかも。
間違いなくおもしろいんですけどね。期待値にはいかなかったというか。
見る前の私の期待値が高すぎたせいかもしれないです。
個人的な感想なので、勿論見る人によっては傑作だと思う人もいると思います。
「北欧ミステリーの傑作」と謳われる原作を映画化した作品。
ぜひ、一度ご覧になってください。
個人的点数:65点
(エーレンデュル警部と娘エヴァとの微妙な関係に注目!)
▽原作です