リーピング
あらすじ
かつてキリスト教の宣教師だったキャサリンは、布教先のスーダンで夫と娘を干ばつを解消するための生贄として殺され信仰心を失い、「神の奇跡」を解明する科学者として名を馳せていた。
ある日、宣教師仲間だったコスティガン神父から電話がかかってくる。
彼の持っている写真が突然燃え出し、冥界の神であるケレスのシンボルが浮かび上がったという。
彼は不幸の前兆だというが、キャサリンは忠告を無視して「ヘイブン」という町に調査で出かけてしまう。
町で教師を務めるダグによると、ローレンという少女が兄を殺してから川の水が赤くなったという。助手のベンと川の調査をしていると木の上から死んだカエルが次々と降ってきり、町に戻ってからもハエが発生したり、ウシが病気で全滅するなどの不可思議な現象が起きていた。キャサリンはそれらが十の災いにそっくりなことに気づき…。
登場人物
ベン…キャサリンの助手
ダグ…ヘイブンの教師。一人っ子
ローレン…兄を殺したと疑われて街の人間から迫害を受けている少女
一言コメント:幼い少女に悪い子はいない!はず
感想(ネタバレ注意)
オスカー女優ヒラリー・スワンク主演の、出エジプト記の十の災いをテーマにした映画です。
簡単にストーリーを説明しますと
ヒラリー演じるキャサリンがヘイブンという町に調査に行く
↓
町には十の災いが次々起こるが科学的に証明できず。兄を殺した「不吉な少女」ローレンはサタンの生まれ変わりでこの災いを起こしていると町の人間に諭される
↓
しかし、実際は少女はサタンを殺すことのできる神の使いの天使で逆にサタンを崇拝していた町の人間はローレンを殺せないからキャサリンに殺させようとしていた
↓
全てを知ったキャサリンは少女を守り、十の災いによって「長子ばかり」の町は壊滅
という感じです。
ちなみに十の災いとは
1.水を血に変える 2.蛙を放つ 3.ぶよを放つ 4.虻を放つ 5.疫病を流行らせる 6.腫れ物を生じさせる 7.雹を降らせる 8.蝗を放つ 9.暗闇でエジプトを覆う 10.長子を皆殺しする
みたいです。
これ、普通に面白かったです。
勿論アレ?という場面があったのは事実ですが(キャサリンの牧師仲間を殺したのは誰?とか)それを踏まえても普通に面白かった。
キャサリン達が町に着いた時からダグの「一人っ子の家系なんだ」とか町の住人の「二人目で来たけど性別興味ないね」みたいなのがちゃんと伏線になってたり、その繋がりでローレンが兄に襲われた理由が「第二子だから」というのもわかりやすかった。
サタン信仰はどうやら長子以外の子供は思春期になったら殺さなきゃいけない決まりみたいで、それで町の人間はローレンを殺そうとしたけどローレンは神の使いの天使だから悪魔信仰者が手を出すと返り討ちにあう、というのはなるほどなと。
キャサリンが呼ばれた理由も納得です。
サタンだと思っていた少女=天使、善良な町の人間=悪魔信仰者という終盤で立場が変わるのも、前出の通り伏線を張ってたのですんなり受け入れられました。
ただ、ラストは正直どうかな…という感じ。
天使のローレンがいるということは、サタンも出現するという理論はわかるんですけどそれがキャサリンのお腹にいるかも?というのはお決まりの展開とはいえどうかな、と。
しかもお腹の子が寝てる時に襲われた?ダグの子って。さすがにちょっご都合主義気味な気がします。
ラストは素直にキャサリンとローレンが家族として幸せに暮らすだけでよかったんじゃ?
キャストではオスカー2度受賞のヒラリー・スワンクの演技が素晴らしかったのは当然として、ローレン役のアナソフィア・ロブが透明感があって意外といい感じ。
ローレンは常に無表情で感情が見えない子なんですが、アナソフィアの無表情はどこかおとぼけ顔に見えてそれが「兄を殺すような悪い子に見えないんだけどなあ」と一種のミスリードを上手く誘ってたような気がします。
映画はとても楽しめましたが、
副題の「イナゴ少女現る!」は酷すぎる
確かに少女の周りでイナゴは飛んでいましたが、あれ多分、十の災いの8番目ですよね?ローレンは天使だから災いが効かなかっただけで。
いつものこととはいえ内容もよく見ずに邦題や副題をつけるのは本当に酷いですね。
内容は普通のスリラーなのに「イナゴ少女現る!」のせいでどこかネタ的な要素が漂ってる映画になっちゃってるじゃないですか。
日本の映画会社にはもっとよく考えて邦題や副題をつけてほしいと切に思います。
個人的点数:72点
(十の災いが町に次々訪れるその緊迫感に注目!)