はじまりのうた
あらすじ
製作した曲が映画に採用され、ブレイクしたミュージシャンである恋人デイヴと彼の浮気により彼と別れることになったシンガーソングライターのグレタ。
友人のスティーヴを頼ったグレタは、スティーブの後押しによってバーのステージで歌うことに。
偶然その場に居合わせた落ち目の音楽プロデューサー・ダンは、グレタの歌に聞き惚れ、グレタに一緒にアルバムを作ろうと持ち掛ける…。
登場人物
グレタ…シンガーソングライター。売れっ子になったデイヴを支えていたが…
スティーヴ…ストリートミュージシャン。落ち込むグレタを励ます
デイヴ…グレタの恋人。売れた途端浮気をしてしまう
一言コメント:はじめの一歩を踏み出す勇気の大切さ
感想(ネタバレ注意)
キーラ・ナイトレイ主演、「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニーが監督をしている映画です。
これ、結構評判がいいみたいで期待しながら見てたんですが、
その期待を裏切らない素敵な映画でした。
共に恋人や妻に裏切られた者同士であるグレタとダンがアルバム製作を通じて心を通わせるという、ある意味お決まりのストーリーをとても素晴らしく描いていましたね。
最初はアルバム製作すら断っていたグレタが、アルバム製作を通してどんどん元気を取り戻していく姿はとてもよかったですし、「スタジオを借りるお金がない?なら街で収録すればいいじゃん!」って駅や街の片隅やビルの屋上で音楽を奏でる姿は見ていて心が温かくなったというか、何とも言えない気持ちになりました。
私が個人的に好きなシーンは恋人であるデイヴに別れの電話を掛ける時、グレタとスティーブで即興の歌を歌うシーンです。
歌の内容がどこか恨み節なのも(笑)、切ない歌詞で曲調なのにどこかポップさすら感じられる曲も、それを歌うグレタが最初は切なそうなのに、終盤は「せいせいした」表情と感じられたのは私の気のせいではないはず。
そしてもう一つ好きなシーンは屋上でグレタやダンやバイオレットやバンドが曲を奏でるシーン。
多分この映画の「売り」のシーンだと思うんですが、素晴らしかったですね。
本当に楽しそうに演奏していて、見ているこっちも楽しい気分にさせられました。
ああいうシーンに弱いんですよね(笑)
そしてグレタの対であるダンもアル中のダメ男なんですが、奥さんに浮気された過去があったり、学生時代の友人に音楽会社をクビにされたりと中々切ない立場なんですね。
そんなダメ男のダンがグレタとの出会いによって徐々に音楽プロデューサとして、人として再起していく姿も素晴らしかった。
安易にダンとグレタがくっつかなかったのもよかった
この手の映画ではすぐに恋愛関係に移行しちゃいますが、ダンとグレタはそうならず、最後まで良き理解者で良きパートナーという関係を貫き続けたのはこの映画の素晴らしいポイントの一つです。
ラストは、ダンは奥さんと復縁、グレタは復縁を望んだ恋人と決別を選び新しい道を歩き出す。このラストはよかったんじゃないかな。
あのアルバムがあったから、ダンは奥さんと復縁できたし、グレタは「死ぬほど愛してた」恋人と決別を選べた。
あのアルバムが二人の新しい道のはじまり。タイトルの「はじまりのうた」というのはこういう意味だったのかなと。
1ドルでアルバムを売っちゃうのはどうかと思うけどね(笑)。
どうでもいいですが、デイヴって典型的な「売れて勘違いしたミュージシャン」の行動をしていますよね(笑)
売れた途端に下積みを支えてくれた恋人を捨てたり。その浮気相手とも速攻で別れた挙句に元恋人に「やり直そう」とか言い始めたり。
日本でもこの手のミュージシャンは多い気がします。誰とはいいませんが。
とにかく素敵な要素ばかりが集まった素晴らしい映画です。
評判通りの素晴らしさなので、ぜひご覧ください。
キーラ・ナイトレイの歌声も聞けますよ。
個人的点数:76点
(キーラの素敵な歌声に注目!)
▽映画のサントラ。この映画で使われた数々の曲が収録されています