スウィート17モンスター
あらすじ
子供の頃いじめられっ子だったネイディーンは、17歳になってもどこかクラスに溶け込めず、そんな自分に嫌悪を抱いてる「拗らせ女子」。
唯一の親友クリスタとひっそりとした学校生活を送っていたが、ある時その親友と大嫌いな兄ダリアンが交際してる事が発覚!
許せないネイディーンは唯一の友達クリスタと絶交してしまう。
果たして、ネイディーンの明日はどっちだ!?
登場人物
ネイディーン…クリスタと亡くなった父親が心の支えの元いじめられっ子
ダリアン…妹とは違い社交的で成績優秀なネイディーンの兄
クリスタ…ネイディーンとは幼馴染で唯一の親友
ブルーナー…歴史教師。ひとりぼっちのネイディーンの話し相手
一言コメント:思春期って、今思い返すと恥ずかしい経験ばかりだよね
感想(ネタバレ注意)
「ピッチ・パーフェクト2」「トゥルー・グリット」のヘイリー・スタインフェルド主演の青春映画です。
面白いね~、この映画。
本作を簡単に説明すると、誰でも覚えがある思春期の恥ずかしい経験を映画にした作品です。
思春期の時って、何故か「自分は世界一不幸だ」なんて思う事ありますよね。
自分はこんなに努力してるのに、大して努力してないアイツに負けた。
大好きな人にフラれて、今世界で一番かわいそうな人は自分だ。
こんな風に妬みや嫉妬に溢れ、自分をかわいそう扱いしてたという経験は、誰もがあると思います。
こんな過去は今思い出すととても恥ずかしいんですが、この恥ずかしい青春を映画にしてるのが本作です。
本作の主人公ネイディーンは、兄に対するコンプレックスの塊です。
何でもできて周囲に好かれる兄に比べ、成績も並みで落ちこぼれ、友人も一人しかいないネイディーン。
それでもネイディーンは、今まではそんな兄に対して心で嫉妬するだけで済んでたんです。
それは亡くなった父、そして何より自分の全てを理解してくれるクリスタがいるから、耐えられてたんですね。
しかし、「自分の絶対の味方」であるクリスタが「自分が欲しいものを全て持ってる」兄に取られた時、ネイディーンは嫉妬を爆発させるわけです。
もうね、その後の行動が「こんな経験あるある」ばっかで見てて何故かこっちが恥ずかしい気持ちになったりして(笑)
虚勢を張って学生パーティーに参加するも、一人ぼっちになったりとか。
自分も彼氏を作ってやる!とイケメンと初体験しようとするとか。
極めつけはクリスタと自分の交友関係の違いが発覚した瞬間です。
自分はクリスタしか友達がいない、だから相手もそうだと勝手に思い込んでたネイディーン。
でもそれは違って、クリスタはネイディーン以外にも友達がいて、ちゃんと独自の交友関係を築いているわけです。
それを知った時のネイディーンの切なそうな感じは、自分の過去を思い出して共感してしまったり。
とにかく、本作はそんな「過去の恥ずかしい経験」を延々と見せられます。
だから、自分の消したい青春を映画として見せられてるようで、何だか恥ずかしい、むずがゆい気持ちになるんですよね。
でも、逆に言うと、観てる方が共感できる映画を作ってるという事で、そこは本当に凄いなと。
ラストのオチも、実は完璧だった兄にも悩みはあったんだぞ~というありきたりながらも納得のいく感じ、ちゃんとネイディーンを成長させて終わりで良かったです。
ただ、一つだけ言うなら、最後のネイディーンと兄の本音のやりあいには親友のクリスタも参加してほしかったなと。
ネイディーンが一番こだわってたのは、実は兄じゃなくクリスタだと思うんですよ。
「兄がクリスタと付き合ったから腹がたった」んじゃなく、「クリスタが誰かと付き合ったから腹がたった」んだと思うんです。
つまり、クリスタが自分以外に大切な人を作ってしまったのにムカついていた。
だからこそ、自分がいなくても何事もなく学校生活が送れてるクリスタに寂しい気持ちになった。
自分は彼女に必要ないんだなと思って。
まあ、相手が兄ってので怒りは倍増したんでしょうけど(笑)
だからこそ、クリスタも含めた3人で本当の気持ちを打ち解け合ってほしかったなと。
不満点はそこだけで、全体的に満足が出来る映画でしたね。
後、驚いたのは主演のヘイリー・スタインフェルド。
確か「ピッチ・パーフェクト2」では私は彼女を地味だと言ってた気がしましたが、本作では見事な存在感・演技力を見せつけていました。
久しぶりに、今後が楽しみな女優さんだと思いましたね。
本作は恋愛・友情・コンプレックスと色んな要素が詰まった良く出来た作品です。
本作を見て、学生時代の恥ずかしい青春を思い出して、思わず叫んでみてはいかがでしょうか。
最後に。
ブルーナー先生マジ素敵。
こんな先生に学生時代に出会いたかったよ。
個人的点数:81点
(ネイディーンの成長を見届けろ!)