秒速5センチメートル
あらすじ
東京の小学校に通う遠野貴樹と篠原明里は互いに「他人にはわからない特別な想い」を抱き合っていた。
小学校卒業と同時に明里は栃木へと転校してしまうが、貴樹が中学に入学して半年、栃木の明里から手紙が届き、それをきっかけに文通するようになる。
しかしその年の冬に、今度は貴樹が鹿児島へ転校することが決まった。
鹿児島と栃木では遠い距離に絶望した貴樹は、明里に会いに行く決意をする。
しかしその約束の日、関東では大雪となった。
当初の予定は列車の遅延で大幅に狂い、時間だけがただ残酷に流れていく……。
登場人物
遠野貴樹…一人っ子で転校が多くどこか心が冷めている少年
篠原明里…貴樹の初恋の相手で幼いながらもお互いに想いあっていた
澄田花苗…種子島で貴樹と同じクラスだった少女。貴樹に恋する
一言コメント:男は名前を付けて保存、女は上書き保存
感想(ネタバレ注意)
新海誠監督製作のアニメ映画です。
「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」の全三話から成り立っている作品です。
いつまでも初恋の相手を忘れられない男のウジウジ話が延々に描かれています。
この映画、見た人の年齢によって映画の感想が違うんじゃないかなあ。
10代なら間違いなく切なくて泣きそうという感想を抱くんじゃないかな。でも、色んな経験を積んだ20代以上になってくると、まあこれが現実だよなと思うんじゃないかなと。
実際に私は後者の感想を抱きました。切ないなとは思いましたけどね。
人それぞれの見方があるとは思いますが、私は大人になった貴樹が本気で明里を引きずっているようには見えませんでした。
「秒速5センチメートル」の貴樹は「大人になるという事」の現実に絶望し、葛藤や迷いを抱いています。
「子供の時に思い描いていた未来はこんなんじゃない!」という誰もが一度は感じたことのある思いを抱え、仕事をやめてしまいます。
現実はとても辛くて苦しい、だから将来への夢や希望を抱いて輝かしい未来が訪れると信じて疑わなかった過去へと逃避する。
貴樹にとっての「現実」が恋人である水野理紗ならば、「過去」が明里だった。
だから大人になった貴樹は明里に固執した。辛い現実を逃避したいから。
貴樹はずっと明里を想い続けていたわけではないと思う。だから、大人になって理紗と付き合ったんだし。
だけど未来が自分の思い描いていたものと違ってきて、現実が貴樹にとって辛いものにしかならなくなった時、「楽しかった過去」の象徴として明里を代替えで固執したんじゃないかな、と。
現実が幸せだったのなら、明里と同じく過去の初恋として消化出来てたと思う。
最後の踏み切りシーン。
明里がいないことがわかって貴樹が笑ったのは、そんな自分の気持ちにやっと気づいて、明里という「過去」へと決別出来たからこその笑みだったのかなと。
あくまでも私の見方ですけどね。
それにしても、この映画は背景描写がとても綺麗ですね。
踏み切りのシーンとか思わず背景ばかり見ちゃうほどの素晴らしさでした。
まあ色々考察もどきやらなんやらしちゃいましたが、何が言いたいかというと山崎まさよしのPVだよね、この映画。
個人的点数:72点
(ラストの「One more time, One more chance」のPVに注目!)