ファンタスティック・フォー (2015年)
あらすじ
天才的な知能を持つリードは、フランクリン・ストーム博士の物質転送装置を製作するプロジェクトに参加することに。
無事に製作された物質転送装置を使って親友のベン、ジョニー、ヴィクターと異次元空間プラネット・ゼロへのテレポートに挑むが、想定外の出来事に巻き込まれジョニーの姉スーを巻き込んだ大事故を起こしてしまう。
目を覚ました時、彼らには不思議な能力が宿っていて…。
登場人物
リード…天才的な知能を持つ青年。両親と不仲
ベン…リードの幼馴染で親友。彼の実験に協力する
スー…ストーム博士の養子で彼の研究に参加している
ジョニー…スーの義弟でストーム博士の実子
ヴィクター…ストーム博士の研究に参加。問題児
ストーム博士…スーとジョニーの父親でリードを見出す
一言コメント:チームなんだから4人は平等に扱いましょう
感想(ネタバレ注意)
2005年に製作された同名アメコミ映画のリメイク作品です。
ラジ―賞受賞も納得の出来に仕上がっています。
はっきり言ってこれはないわ。色々酷いっていうか、全体的に描写不足。
まずベンの扱いが酷すぎる
ベンといえばファンタスティックフォーの一角にしてリードの無二の親友、能力を持ってしまった苦悩が一番色濃く表れるキャラです。
しかし今作のベンは幼少期の姿がちょろっと描写されただけで、転移装置を作る実験には無関係、転移する時もリードが親友だから呼んで参加しただけという雑さ。
姿が変貌した後も、苦悩するどころか積極的にその能力を使って政府に協力してる始末。
自分を見捨てたリードとの対峙や葛藤もほとんど描写されることなく、気づいたら仲直りしてるし。
オリジナル版のベンとは似ても似つかないキャラになってます。
能力をもった葛藤や悩みがまったく描かれていない
今作のメイン4人は学生or若者です。
普通ならば能力を持った葛藤があってもいいはずなのに、前出の通り一番辛いはずのベンだけじゃなく、スーもジョニーも悩むどころか積極的に能力を使ったり肯定してる。
一応スーは「元に戻らなきゃ」と思っているようですが、それだけ。
全体的に能力に対する思いが4人共軽いです。
リードの両親との不仲という設定って必要だった?
リードは母親とその再婚相手と不仲という設定になっています。
しかしその設定が使われたのは、養子だったスーとの「家族に問題がある同士」で共感しあったシーンだけ。
しかもリードの両親との不仲はリード自身の言葉でしか語られないばかりか、当の両親は映画に一切登場しないという扱い。
スーと仲良くなるためだけに作られたこの設定って本当に必要だったのか。
ヴィクターの扱いが適当
今作、ベンの扱いが酷いのと反比例してヴィクターは一緒に転移装置を作ったり異次元にいったりと描写が増えています。
そのヴィクターは異次元で事故に巻き込まれリード達に置いて行かれ、再会したときには何故か「地球を破壊する」事が目的になっています。
しかしなぜヴィクターが地球破壊を目指すのかの理由は抽象的にしか語られず、見ている側からしては「何でヴィクターおかしくなったの?」状態です。
まだリード達に異次元に置いてかれた恨みでおかしくなった、という理由のがマシな状態です。
また意味ありげな描写をされていたスーとヴィクターの関係も全く語られず。
オリジナル版と同じくヴィクターの片思いでいいのか?中途半端に描写するならスーとヴィクターの関係はバッサリ切った方が良かったのでは。
そして一番の不満。
能力を使った戦闘シーンが少なすぎる
この映画を見る人が一番期待しているのは4人+ヴィクターの能力を使った戦いだと思うんです。
しかし実際にそんなシーンが出てきたのは、映画のラスト15分くらい。
それまではだらだらと転移装置作ったり等のシーンが続くだけです。
そもそもリード達に能力が宿るのは映画開始して1時間近くたった頃です。
1時間近くもリード達が転移装置を作ったり仲を深めたりのシーンを見たい人がいますか?
その結果、戦闘シーンがラスト15分近くというお粗末さ。
時間配分を間違っていると思います。
他にも酷いなというシーンやツッコミどころはありますが、大きく気になったのは上記です。
全体的に酷い出来なのですが、一応良い点もあるにはあります。
酔っぱらったリード達が語る「月に行った人の名前は歴史に残るけどその宇宙船を作った人の名前は歴史に残らない」という発言はその通りだなと。
その時のリード達の境遇も相まって、そこのシーンは良かったと思います。
しかし、そんな良い点も数えるほどしかない映画だったのも事実。
私は前作というかオリジナル版も見ましたが、低評価だったオリジナル版よりも更に酷い出来だと思います。
なんでファンタスティックフォーの実写化はいつも酷い出来になるんでしょうかね。
ハリウッドはこのアメコミに恨みでもあるのか…。
個人的点数:29点
(ラスト数分の戦闘シーンに注目!)
▽オリジナル版